アートdeおもしろ集客看板

もっと目を引く、面白い看板はないの? 面白くない看板は、誰も目を向けてくれません。 しかも、「集客」につなげるには、「タネ」も「仕掛け」も必要です。 真剣に「集客」をお考えの方だけご覧ください。

手書き風の文字を迫力の立体文字看板に!

平面的な文字から筆圧を立体的に表現

都内のらーめん店「麺や雄」の立体文字の制作です。
持ち込まれたのはご覧のようなスミべたの文字原稿だけ。
これを手書き文字風な立体文字にして欲しいという依頼です。

従来のカルプ文字やチャネル文字ようのな厚板を文字の形に切り抜くだけの単純な加工ではありません。
角を丸めたり、カマボコ風にするだけでもダメです。
手書き文字を立体にするということは、筆圧による高低差を表現しなければなりません。
生の毛筆文字なら筆順や筆圧、かすれ、重なりなどが読み取れるのですが、平坦なベタ原稿から推測しなければならないので、作り手の感性に大きく左右されます。

新しいタイプの仕事は、私が自らやってみるようにしています。
どこに問題があるか、どんなトラブルが発生しやすいかなど、把握しておく必要があるからです。

まずは、文字の形にスタイロフォームを切り抜いて、山と谷を下書きしていきます。
筆の重なり部分の境界線も推測で下書きします。

あとは自分が文字を書く気分で鋸やカッター、ワイヤーブラシ、紙やすり、スポンジヤスリなどを使い分けて削っていきます。

文字の輪郭は正確に。
しかし、表面の表情は手書きのファジーさを出さなければいけないので、ちょっと緊張します。
はっきり言って初めてのトライです。

出来栄えとしては不安が残りますが、何とか格好にはなりました。
削り出し作業が終わる頃にようやく感覚がわかってきて、次回はここをこうしようとか、こうしたらもっと面白いものができるという工夫やアイデアがたくさん頭に浮かんできました。

表面コーティングで屋外仕様に

あとは、屋外での耐久性と耐候性をつけるための硬質膜を表面にコーティングします。
コーティング材としては、積層用不飽和ポリエステル樹脂、硬質ウレタン樹脂、モルタル樹脂など、様々な種類の中から設置場所や求められる強度、予算などに応じて使い分けます。
ちなみに今回はセメント系保護材のライテックスを使用しました。
半日乾燥させたら研磨してまたコーティングして研磨します。
それを3回繰り返します。
結局、コーティング作業で2日間。


ライテックスを3回コーティングして研磨したら、下地処理用の専用シーラーを塗って、乾いたらシルバー塗装です。
今回は水性アクリル系塗料のシルバーを4回塗り重ねました。
まだまだ終わりではありません。
最後に、紫外線カット剤の入ったクリアを2回スプレーして完成。
制作を開始してから完成まで4日間かかりました。

今回は制作のみで、取付け施工はありませんでした。
で、後日設置後の様子を見に行きました。
心を込めて作った子供たち(立体文字)は、一際引き立って目に飛び込んできました。
看板としてお店のために1年でも長く活躍してくれることを祈りながら現場を後にしました。