アートdeおもしろ集客看板

もっと目を引く、面白い看板はないの? 面白くない看板は、誰も目を向けてくれません。 しかも、「集客」につなげるには、「タネ」も「仕掛け」も必要です。 真剣に「集客」をお考えの方だけご覧ください。

珈琲店の看板「70%の完成度でオープン」

喫茶コーナー併設の珈琲焙煎工房

コーヒー豆の焙煎販売と喫茶を併設するお店を始めるお客様。

最初に相談を受けたのは7月下旬。
まだ、その段階では出店場所も決まっていませんでした。
ただ店名だけは、オーナーの希望で「Ten Dollars Coffee」にしたいということでした。
最初のうちはオーナーの強みやお店のコンセプト、ターゲットなどを確認するだけ。

若者たちのコーヒー離れや安いファーストフード型のカフェに押されて従来型の喫茶店の低迷している中で、開店前から課題山積みです。
売上げ予測からしても、余り予算もかけられません。


不利な立地と建物の表情がデザインの課題

8月上旬に物件が決まり、ようやく具体的なデザイン作業に入ります。

駅前立地ではありますが、商店街とは逆方向の位置です。
建物もご覧お通り、店舗にはちょっと不向きな感じ。
壁の色もチョコレート色で、事務所や作業場によくあるタイプです。
ちょっと地味でありふれていますがコーヒー色でもあるので、このままで行くことにしました。
その分、行き交う人が必ず目を留めてくれる仕掛けが必要です。
しかも、一目見ただけで何の店かが分かり印象づけられるもの。
豆を注文を受けてから焙煎するというこだわりの店ですから、「派手さ」と「軽さ」は避けた方がよさそうです。
派手ではなくて、目立って、存在感があって、本物感があって・・・・。
一目見ただけでコーヒーの薫りが伝わってきそうなモチーフとは・・・・。
そこで、コーヒー樽をモチーフに採用することにしました。

ただ、これだけではコーヒー関連の店だとはわかりますが、コーヒー豆の店か喫茶店なのかわかりません。
もちろん両方やっているのかもわかりません。
お次は、お店の営業内容が端的に伝わってくるような表札看板が必要です。
そこで、「珈琲工房」という言葉を選びました。

店内の雰囲気の演出は壁画が一番!

店内はあえて客席らしい造作は無しにして、工房(作業場)のイメージをそのまま残すことにしました。
その分、少し華やかさを演出するために壁面にヨーロッパの市場のある風景の壁画を描くことにしました。
狭いスペースで造作が困難な場所やローコストで雰囲気を演出するには壁画は最適です。
喫茶スペースが狭いことと重い雰囲気にはしたくないため、水彩タッチのスケッチ風の壁画にしました。

看板の完成度は70%でオープン

かくして、一応は終了。
一応はというのは、新規開店の場合は最初から100%作り込んだお店をつくるよりも、完成度60〜70%程度で一旦オープン。
オープン後の様子をみて、地域特性や客層、客の反応などが読めてから調整するという方法をおすすめしています。
その方が失敗も少なく、ムダなコストをかけないで済むからです。
まだまだやりたいこと、提案したいアイデアは山ほどありましたが、それはオープン後の回すことにします。

テスト営業

看板も外装もちょっとシンプル過ぎて物足りない感じですが、とりあえずこれでオープンです。

開店の仕方も重要です。
早くオープンしたい。
最初から大々的に派手な宣伝をして、初日から大入りにしたい。
1日でも多く営業して売上げを上げたい。
早くかかった費用を回収したい。
店主の焦る気持ちは理解できますが、焦りが一番禁物です。
商売は目先の1日2日が問題ではありません。
5年10年と長い間お店を継続し成長させていくことが大切で、正にマラソンレースです。
最初はスタッフが作業も接客も不慣れで、一気に客が来るとトラブルの続出、客の不満が逆クチコミになって、逆にお店のダメージねなりかねません。

そこでオープン告知は、お店周辺のポスティングと駅でのビラ配りだけにしました。
自然にオープンするフェードイン型です。
ぽつぽつと入ってくる客とゆっくり会話して、客のニーズやウォンツを探る。
価格やメニューや提供の仕方も少しずつテストし調整していく。
正にマラソンのスタートから10キロ地点までと一緒です。

これから、この店主とも永い付き合いになりそうです。